文書質問趣意書

一、瑞江駅西部地区、篠崎駅東部地区の区画整理事業について

2006年12月13日
河野百合恵(江戸川区選出)

 現在、江戸川区内で東京都は、瑞江駅西部地区、篠崎駅東部地区の2地区の区画整理事業を施行しています。私は、2002年第三回定例会で、江戸川区内の東京都施行区画整理事業の遅れについて文書質問をしました。瑞江駅西部地区は2002年度、篠崎駅東部地区は2001年度から、移転工事が始まっていますが、2005年度までの進捗状況を移転棟数で見ると、瑞江駅西部地区は125棟、14.2%、篠崎駅東部は206棟、41.5%です。東京都は「施行期間内に事業を完了させる」と説明していますが、「都は本当に約束を守ってくれるのか」という住民の声は、今なお強いものがあります。区画整理事業地区内住民の不安が解消され、安心して住み続けられる街づくりが行われることを願い、以下、質問します。

Q1.瑞江駅西部地区の事業計画決定は1994年度、続いて、篠崎駅東部地区は1995年度に事業計画が決定されました。それから数えても、すでに十数年の時が経過しています。2000年に東京都は2つの地区の完成年度を延期しました。瑞江駅西部地区は11年延期で2014年度、篠崎駅東部地区は13年延期で2017年度ということになりました。そのために住民は老朽化した家の建て替えもままならず、区画整理事業による様々な生活の不便、精神的負担感を抱えながらの生活を余儀なくされています。
  都は、事業の遅れの原因について、事業計画や換地設計に対する住民からの意見書の処理に時間がかかった、などの理由を挙げていますが、根本的な原因は東京都の街づくりの姿勢にあるのではないでしょうか。たとえば、瑞江駅西部地区で事業計画に対する987通の住民意見書が提出されたのは、平均減歩率が19.57%と他地区を大幅に上回る案だったことによるもので、瑞江南部・北部地区など周辺3地区に比較しても、住民負担が重すぎたからに外なりません。先行して区画整理が実施された隣接の西瑞江地区、瑞江駅南部地区などに比較して、都の予算が大きく削減されたことも遅れの要因です。
 2つの地区で区画整理事業の測量説明会が開かれたのは1988年、1989年です。約20年にも及ぶ長い期間、区画整理事業地区内に居住していることで苦労を重ねてきた住民の思いを、施行者である東京都はどのようにうけとめていますか。お答えください。また、住民に約束している年度内に事業完了させる工事計画は、どのように考えているのでしょうか。合わせて答弁を求めます。

Q2、2006年度の事業予算は、瑞江駅西部地区が29億円(移転予定棟数80棟)、篠崎駅東部地区が23億円(移転予定棟数59棟)です。2005年度に比べて若干増額ではありますが、一方で、2007年度以降に移転が必要な棟数は瑞江駅西部地区で799棟(78%)、篠崎駅東部地区で233棟(46.8%)残っています。瑞江駅西部地区の今年度の移転予定棟数80棟で、2007年度以降に残っている799棟を割ってみると、移転が完了するのは11年後の2017年度になってしまいます。
 かつて、第一区画整理事務所には、毎年度80億から100億前後の予算が確保され、そのほとんどが区画整理事業費にあてられていました。ところが、2000年度に特別会計の臨海都市基盤整備事業が所管に加わり、また、臨海副都心関連の道路と橋梁建設費が街路事業として第一区画整理事務所の一般会計から支出されることになりました。
 2002年度の予算は、街路整備事業が約45億円、篠崎駅東部、瑞江駅西部の区画整理事業費が約10億円、2004年度は街路整備費63億円、2つの地区の区画整理事業費は28億という状況になりました。
 多数の住民が生活している地域の区画整理事業より、東京都が「都市再生」と銘打って力を入れている臨海副都心開発関連に予算配分の重点が大きく傾いていることが明白ではないでしょうか。
 区画整理事業を専管すべき第一区画整理事務所がなぜ、臨海部開発関連の事業に取り組み、予算の重点配分を行わなくてはならないのか、住民に対して納得が行く説明はされていません。
 第一区画整理事務所に臨海部開発の事業を加えたこと、予算配分の偏りがなぜ起きているのか、具体的に経過、理由をお答えください。

Q3.区画整理事業は、移転した後の換地処分、清算金の徴収、交付の決定などの手続き終了で事業完成となります。清算金の決定などの手続きには、最低でも2年余かかると言われています。従って、瑞江駅西部地区では2012年度までに移転が終了しなければ、2014年に施行完了とはなりません。現状のような取り組みでは、到底間にあわないではありませんか。
 また、都は、「今後、瑞江駅西部地区は南側地区の事業に取り組んでいく計画」と説明していますが、南側の地域は、戸建て住宅が密集し、道路は幅員が狭   い上に曲がりくねっており、地域全体が一括して移転しなければならないような街の形状です。予算をこれまで以上に増額させなければ南側地域の事業を進めるのは困難です。
 こうした状況に照らして考えると、今までのようなレベルの予算のつけ方では、東京都が言明している「施行期間内に事業を完了させる」ことは困難ではないか、と住民が疑問をもつのは当然です。
住民要望を尊重し、事業を進めていくためには、都が特段の努力をして予算を大幅に増額させる必要があると考えますが。いかがでしょうか。答弁を求めます。

Q4.、区画整理事業を進めるには、施行者の東京都が住民の意見や要望に丁寧に対応していくことが重要です。事業地区内には、江東区にある第一区画整理事務所の出先機関の地区事務所が設けられ、職員が区画整理の仕組みの説明や補償問題をはじめとした住民の相談窓口となっています。
 地権者、借地権者などから寄せられる個々の細かな相談等にも応じてくれていますが、関係住民は、第一区画整理事務所を含めて事業を担当する職員はできるだけ継続して任にあたってほしいこと、事業の進捗に見合った人員増を行うことを希望しています。
 都の職員配置について住民の要望に応えていただくことを求めますが、お考えはいかがでしょうか。

Q5.現在、第一区画整理事務所の一般会計で所管している区画整理事業は、瑞江駅西部地区、篠崎駅東部地区です。一方、臨海都市基盤整備事業会計による区画整理事業は、晴海四・五丁目地区、豊洲地区、有明北地区などがあります。今年度の予算を比べると一般会計は61億、臨海都市基盤整備事業会計は141億となっています。特に豊洲地区は約72億、有明北は51億と突出しています。石原知事は、破綻が明らかな臨海副都心開発を見直すことをせず、2016年のオリンピック招致を理由にいっそう臨海開発を促進しようとしています。区画整理事業の予算配分からも、知事の大型開発優先の姿勢が浮き彫りになっています。
 木造の低層戸建て住宅が密集し、そこに住む住民が年々高齢化している瑞江駅西部地区や篠崎駅東部地区の区画整理事業の方こそ、防災や福祉の側面から優先順位が高いのではないですか。
 他会計の予算を回すような方法で、破綻している臨海部開発の救済を行うようなあり方をあらため、都民生活を大切にする方向に予算配分を切り替えることを求めますが、いかがでしょうか。見解をお示しください。

二、持続可能な東京の都市づくりと木造住宅密集地域の改善について

Q6、石原知事が推進する巨大開発型の都市再生と、瑞江駅西部、篠崎駅東部の区画整理事業を比較してみたとき、東京の街づくりが2極化していることは明瞭です。
 世界では、サスティナブルデベロップメント(持続可能な発展)、コンパクトシティが、都市づくりの望ましい方向として注目されています。都の都市再生路線は、東京をサスティナブルな都市にしていくことができるでしょうか。国の「都市再生特別措置法」によって東京が都市再生地域に指定した地区は東京駅周辺や六本木、新宿など都内では1級地とも言える所で、ここに急速な勢いで超高層ビルを次々に建設しています。超高層ビルと大型幹線道路建設を軸にした都市再生は、東京が直面しているヒートアイランド現象やCO2などの温室効果ガス排出増による温暖化をますます深刻にすると、指摘されています。世界的な取り組みになっている「持続可能な都市」のあり方と逆の方向に進んでいると言わざるをえません。
  1992年にオリンピックが開催されたスペインのバルセロナや、2012年のオリンピック開催都市に決まったロンドンでは、都市の周辺地域や工場閉鎖などで疲弊した地区の再生に力を注ぎ、生活と環境重視の立場で街づくりに取り組んでいることが評価を受けています。
昨年発行になった「持続可能な都市、欧米の取り組みから何を学ぶか」の書には、次のような考え方が紹介されています。「『開発の誘導』の都市政策思想に従えば、まずどこが都市再生の課題地域として検討されるのが適当であろうか。2002年夏、都市計画家らが集まった内輪の小さな会合で『本来的には、都市災害に脆弱だといわれる木造住宅の密集地域などが最優先して都市再生特区に指定されるのがふさわしい』という意見が飛び出し、議論が盛り上がった。木造住宅密集地域こそ、火災の際の延焼の心配や、地震などのときの建物の倒壊など物理的な意味でサスティナビリティが最も問われるところである」とし、「木造住宅地域の衰退の傾向は深刻である」とも記されています。成熟した都市の姿を世界に示すというのなら、住む人も訪れる人も居心地がよく、豊かな緑や水に親しめ、文化と歴史の香りが漂う東京をつくることではないでしょうか。真の意味でサスティナブルな東京にしていくためにも、瑞江駅西部地区、篠崎駅東部地区に代表されるような木造戸建て住宅が密集している地域の遅れた街づくりの位置づけをもっと高めるべき、と考えます。「持続可能な都市・東京をつくる」立場から、都の都市政策の見直しを求めます。ご見解をお示しください。

Q7、東京都内の木造住宅密集地域は、約23,000ヘクタールあります。東京都は、2003年9月に「防災都市づくり推進計画(基本計画)」を改定し、防災上、危険度が高い整備地域として指定していた9,200ヘクタールを6,500ヘクタールに縮小してしまいました。重大な施策の後退です。都都市整備局の資料によれば、今年4月1日現在、都の木造住宅密集地域整備事業の実施地区は、19区53地区、2,200ヘクタールで、都内の木造密集地域全体の10%弱にとどまっています。
  木造住宅密集地域は老朽化した住宅の割合が高く、高齢者など弱い立場の人が少なくありません。木造住宅密集地域は防災上、改善が急がれます。家や土地を借りているなど弱い立場の人たちのために公共住宅の建設を進めることや、住宅再建にむけての種地の確保などが必要です。建替えや住替えへの行き届いた支援の仕組みづくりが、整備を前進させる保障になります。合わせて、狭小な幅員の生活道路の拡幅や公園整備など公共施設を整えることも重要です。こうした施策を推進していくには、木造住宅密集地域整備予算を抜本的に拡充することが求められます。都民の生命と財産を守るうえで喫緊の課題になっていることを認識し、対策を強めていただくよう要望します。お考えはいかがでしょうか。

Q8、今年度から、東京都は木造住宅耐震化促進事業を開始し、耐震診断や耐震改修工事への助成を実施しています。阪神・淡路大震災など甚大な被害が発生した地震災害の教訓からの、切実な都民要望が一歩前進という形でかなえられました。しかし、問題は実際に耐震診断や耐震改修助成の制度の活用が十分に進んでいないことです。今年11月、都は、耐震化を促進するために「安価で信頼できる木造住宅の『耐震改修工法・装置』の事例の募集」を行うことを告知しました。都民が適切な改修方法がわからないなどのことが耐震化が進まない理由としてあげていますが、私は、耐震化を促進していくには、都民が利用しやすくなるような制度の改善を行うべきと考えます。
  現在の都の制度は、木造住宅密集地域内の整備地域に指定されている6,500ヘクタールの地域内にある1981年以前建築の住宅に限られること、幅員6m以下の道路に面している住宅であること、耐震強度が1以上であることなど、助成が受けられる要件が極めて厳しいものになっています。国の住宅・建築物耐震改修等事業補助制度や地域住宅交付金制度による制度であり、自己負担の重さなどが利用増につながらない要因であると言われています。都内の自治体では、墨田区や足立区などが、国や都の制度に独自の上乗せをして耐震化促進にむけ独自施策を構築しています。都としても、木造住宅耐震化促進にむけて、助成対象や助成額の拡充に取り組むよう提言します。御所見はいかがでしょうか。

以上

 

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